MYTEZZA Purchase Episode

3

3月
姿を消した青テッツァに強烈な未練を残しつつも次の車を探しに入った。

初旬
S自動車はWEBの業者オークションを渡り歩きいくつかの極上アルテッツァを紹介してくれた。いずれも素晴らしい物件に違いなかったが、いかんせん現車を見れないもどかしがあるし、どうしてもあのフル装備に近い青テッツアと比較してしまいどこかにケチをつけてしまう自分が居た。一方、自分でもWEBを駆け巡り理想の車を探し続けた。沖縄に似たようなのがあると聞けば見積もってはみたもののやっぱり踏ん切りはつかなかった。もちろん福岡方面に流れたと思われる青テッツァの追跡も試みていた。しかしもうそれは諦める以外には無かった。苦い印象を残して去っていった中古車を追いまわすのも我ながらしつこい気がしたし、 あんまり青テッツァに固執するのは逆にS君にも失礼だと思っていた。そんな悶々とした時が流れたある日、S自動車から連絡があり、業者オークション上に Wise Selection 3のNavi、ベージュ、高年式、低走行があると紹介を受けた。細かい資料を見てみると内装がやや汚いようだが、プロの内装クリーニング業者に出せば大丈夫らしい。現物が京都なのが難だが、もうキリが無いので次にWise Selection 3のNaviが出たら それにすると決めていたのでそれに決めた。入札は数日後に行われる、とのことだった。

3月10日夕刻
退社時刻に近い頃、私の目はモニターに釘付けになった。中古車は業務の空き時間も利用しつつ主にYahooのサイトで探していたのだが、その一覧にあの青テッツァが出たのだ。場所は北九州のスポーツ車専門の中古車屋さんだった。何しろあのデカイリヤウィングがあったし、色、形、年式、内装、Navi、走行距離、ホイールデザイン、どれをとってもあの青テッツァだと確信した。私は鳥肌が立った。いつか見つかるかも知れない、しかしもう見つからない、でも諦めきれない。そんな気分で想っていた青テッツァが再度私の前バーチャル(古)として現れたのだ。私はすぐにS君に連絡して事の顛末とベージュのキャンセルを頼んだ。そして帰宅してすぐに北九州の店に商談予約の電話をした。翌日は土曜日なので朝一で北九州に行けばゆっくり商談できると踏んでいた。しかし電話に出た担当者はさらなる試練を私に告げた。

北九州「あー、あの青テッツァは明日、他の方が見に来られますよ」
私   「え!そ、そんな、Σ( ̄ロ ̄ll)」
北九州「キレイでイイ物件ですからねー、問い合わせも多いんですよ( ´,_ゝ`)」

絶対にセールストークだと思った。
でも、もう私にはかけひきする余裕なんて無かった。

私   「んじゃ私は買います、もう買うと決めますんで!Σ( ̄ロ ̄;)」
北九州「中古車ですから早く来た人に売りますよ(^w^)」
私   「今から行きますから待っておいてください(_ ̄Д ̄;)∂」
北九州「お待ちしております。お気をつけてお越し下さい!Ψ(`∀´)Ψ」

苦悩は続く。時刻は18時を過ぎていた。北九州までは高速で走っても2時間はかかる。明日でいいなら道も業者も一晩下調べ出来るがそれでは間に合わない。しかも今夜は勤務先関係のお通夜出席だ。しかも私は職場代表として届けるべき香典を山のように預かっている。

5秒悩んで決断した。
財布に手付金の現金10万円詰め込んでロードマップを掴んだ。速攻、デミオに乗り込んでICに飛び込んだのが19時。お通夜は見送った。翌日の葬儀の席でも問題はないと判断した。たまたまカミサン子供が居ない日で身軽だったのも幸いした。初めて走る都市高速におののきつつ目的の店に着いたのは21時に近かった。それは国道3号線沿いにあり、想像していた以上に立派でちゃんとした店だった。青テッツァは道からよく見える位置に停めてあった。その佇まいは私の追跡に観念したようにも見えるし、目を離せばまたスルスルと逃げ出しそうにも見えた。店員さんとの挨拶もそこそこに私は青テッツァのボンネットのある部分を凝視した。そこには小石が飛び跳ねたようないくつかの深くて小さいキズがあった。当時、雨のS自動車で浮かれる僕にS君が冷静な目で教えてくれたキズだった。

紛れもなく追い続けた青テッツァだった。

>>>Next