MYTEZZA Purchase Episode

2

2006年

1月
マツダディーラーから4Dアクセラの新車見積もりを受けつつ、中古車サイトでは4Dアクセラとアルテッツァの物色を始めた。4Dアクセラは玉数こそ少ないものの試乗車流れと思われる優良物件がポツポツあった。逆にアルテッツァはとにかく玉数豊富だったので、AS、AT、高年式、低走行距離で探した。そんなことしながら2006年が始まった。

2月
私の同級生にして飲みダチ、S君の家は自動車関連業S自動車を営んでいる。S君は優秀な自社のメカニックにして若き社長でもある。私を含め友人一同は車に関する相談事は全て最初にS君に持って行く。もちろん私も今回の買い替え相談を持ちかけてみた。

初旬
電話のS君は一台のアルテッツァを紹介してくれた。2004年式、走行1万9千km、AS、AT、青、程度極上、というもの。オーナーはS君のお客さんで市内在住、車そのものも当時S君が新車で仕入れて販売したものとのこと。今回買い替えを検討されているので下取りとして引き受けてそのまま私に転売してくれるという。車体価格、160万円で渡せればなぁ、と。こんな肉汁の滴るような美味い話、相手が業者なら警戒してかかるが、相手はS君。もちろん飛びついた。

中旬
S君は私の年休取得日に合わせて試乗の機会を設けてくれた。冷たい雨の降りしきる中、その青テッツァはガレージ内で水滴を拭かれていた。「状態がわかるようにと思いまして、ヘヘ」と従業員さん。感動した。ヤケにでかいリヤウィングが目につくが、純正と聞いて目をつぶった。グルっと外装を見ても目に付くキズとかヘコミとかなくて概ねキレイ。無い、と聞いていたカーナビも純正が付いていて思わぬ嬉しさがこみ上げてくる。薦められるがままに乗り込み一人試乗に滑り出す。香水なのかもしれないが、どことなく新車の香りが残っている気がする。いや、助手席のサンバイザーにかかっているビニールは新車納入時のに間違いない。雨天につきメカの発する異音とかはわからないが各種装備品を試すにはうってつけだ。片っ端からスイッチをひねりそれぞれが正常作動するか確認した。しばし走って遊技場の広大な駐車場に入った。他に車はない。私は車を手荒く急発進させた。そして急ハンドルを切って急ブレーキを踏んだ。もちろん車はキーともキャーとも言わなかった。そもそも直線番長の私がひねったぐらいで悲鳴を上げる車なんて無い。

耐性確認終了。

ナビ音声の消し方が分からなかったのがやや悔しかったけど、ガレージに戻って購入決定の意思を告げた。

カミサンに試乗した印象を告げるとカミサンも大変喜んだ。自分も早くその車を見てみたい、と言った。夜、試乗の際には判別できなかった青テッツァのグレードを調べてみた。シートからして明らかにLエディションではなかった。かと言ってホイールデザインからしてZエディションでもない。いくつかのカタログを見比べて気付いた。昼の青テッツァはASをベースにした Wise Selection VのNaviパッケージだったのだ。それから知らなかったWise Selectionについて勉強した。結果、己のプラス思考も手伝って、Wise Selection とは自分が探していた条件を100%満たすモデルであることが判明し喜びも倍々増した。

試乗の翌日曜日、一家で国道を南下中、その青テッツァが寄寓にも隣車線に来た。しばし併走して間もなく自分のクルマになるかと思うと頬が緩んでしょうがなかった。 カミサンもマジマジと眺めては嬉しそうだった。

しかしその青テッツァはその日を境に急激に遠ざかりはじめた。

下旬
試乗の翌週から青テッツァ購入話は急な足取りで迷走し始めた。要約すると、オーナーさんとS自動車間で進んでいた車輌買い替え話に他市在住のオーナーのお兄さんが割って入ってきてしまったのだ。怪訝なS自動車をよそに結局、お兄さんの主導で福岡市のディーラーでの買い替え話が成立してしまったのだ。当然、付随してあの青テッツァは福岡市のどっかのディーラー下取りで流れて行ってしまったのだ。私はその行方を知らせる一報一報に一喜一憂しては最後に来た悲報に沈んだ。S自動車の担当者は詫びた。S君も詫びた。そして誰も予想しなかった結末に誰もが苦笑いした。一連の話に悪人はいない。誰も損も得もしていないのだ。関連した人々は誰もが謙虚に己の利益を適正に求めただけだ。そして一連の顛末を眺め見守り、市場の流れに采配を求めた私に赤でも黒でもない結末が出ただけなのだ。
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